レトロで乙女な喫茶店「ルアン」を求めて大森の街を歩く

大森のレトロなモノ・コト ココロの栄養

こちらに引っ越してくることがなかったら、きっと一生知ることのなかった街のひとつに大田区の大森(おおもり)がある。

最近仕事がらみでちょくちょくこの街の名前を聞くようになり、アーケードや飲み屋の密集した雑多な街、というイメージがなんとなくあった。

『実際のところ、大森ってどんな街?』

単純な好奇心から、街の空気感を肌で感じるべく、予定のない日曜の午後にふらりと電車に乗って大森へ出かけた。

ここだけ異次元、アーケードの真ん中に突如現る「天祖神社」への階段

JR大森駅西口を出ると、通りを挟んで目に飛び込んでくるのが「天祖神社」のこんもりとした敷地。

池上通りに沿って両脇に続くアーケードが、ここだけぷっつり途切れている。

日常風景の中に突如姿を表した異空間。石の階段に続いて、見上げるような高さに、大木に囲まれるように神社が建っている。

正面から境内に行こうとすると、狭くて急な階段を登らなくてはならない。ここは少し回り道をして、敷地脇の階段を行くことに。

JR大森駅西口の神社脇の階段

神社の階段脇には、大森に暮らした大正・昭和の文豪たちのレリーフが。

かつてこの辺り(正確にはさらに西側の馬込周辺)には、室生犀星や萩原朔太郎、三好達治など、大正・昭和期の著明な文士たちが多く暮らしていたという。

馬込や山王の周辺は、大森駅周辺とはまた違った雰囲気なのだろう。もう少し西側に足を伸ばして、馬込文士ゆかりの地を巡るのも楽しそうだが、この時すでに午後の2時。

この日は神社脇の階段を登るだけで、その先に行くのは次の機会にとっておくことにした。

JR大森駅西口の神社脇のお店

階段の途中にある英会話スクール。この “隠れ家感” に惹かれる。喫茶店だったらもっとよかったんだけど。

どこまでも続く池上通り沿いのアーケード

大森に来たのもまったく目的がなかった訳ではない。娘が突如「新しいベッドカバーが欲しい」というものだから、安くて品揃えもソコソコありそうな「ニトリ」に立ち寄るというミッションがあった。

大森の「ニトリ」はドンキの3階にあり、駅から「MEGAドン・キホーテ大森山王店」までは、池上通り沿いをまっすぐ10分ほど南下する。

大森駅西口から続くアーケードは、途中途切れながらも、池上通りに沿ってどこまでも続いていく。ドンキまでの道すがら、昭和の置き土産のような店舗をいくつも見かけた。

大森の「葡萄屋」前の不思議なオブジェ

「葡萄屋」の前に鎮座するラクダ風オブジェ

この「葡萄屋」、後から調べると元は焼き鳥屋だったらしいのだが、現在はギャラリー兼カフェとして使われている。

それにしても焼き鳥屋がなんで「葡萄屋」? なぜにこのオブジェ⁇

謎が深すぎる・・・。

取り壊されずに残った瀬戸物屋さんと後ろの高層マンション

高層マンションの敷地で一戸だけ取り残された、古びた瀬戸物屋

横断歩道の先に見つけた古い瀬戸物屋。

以前は横に仲良く商店が並んでいただろう場所に、高層マンションが割って入ってきたのだろう。他のお店は土地を手放し、この瀬戸物屋だけが残った格好だろうか。カステラの残りの1ピースのような哀愁を感じる。

開発という名目で、どこに行っても均一で無味乾燥なマンションが建ち続ける。良い意味で “空気の読めない” このようなお店に、ずっと頑張っていて欲しい。

この日の目的地である昭和レトロな喫茶店、珈琲亭「ルアン」へ

「ニトリ」で必要な寝具も見つかり、いよいよこの日のお目当である昭和レトロな喫茶店へ。再度大森駅方向に巻目で引き返す。

途中、「落武者Bar」なるものを発見スル。これぞ散歩の醍醐味よ。

さっきの「葡萄屋」(という元焼き鳥屋)といい、大森の街の懐深さに唸る。

大森に落武者バーあり。

落武者の方を対象にしたバー?? っぽいが、ドアの感じから西欧のウォーリアーの方もウェルカムっぽい。

ツッコミどころ満載の濃ゆいバーや居酒屋の通りを抜け、少々心細くなってきた(笑)頃に珈琲亭「ルアン」に到着。

まずはその外観を愛でましょう。

珈琲亭「ルアン」の昭和レトロな外観を愛でる

大森のレトロな喫茶店「珈琲亭ルアン」の外観

昭和40年代当時の、西洋に対する憧れを目一杯詰め込んだ、レトロかわいい外観。

等間隔に並んだライトや、二階の窓のアーチがキュート。壁から突き出た茶色のネオンサインも、昭和レトロな書体で期待を裏切らない。

「ルアン」の昭和レトロなインテリアに目が釘付け

大森のレトロな喫茶店「珈琲亭ルアン」の二階席

日曜の午後、すでに4時は過ぎていたと思うが、それでも店内は人でいっぱい。通された2階は(自分たちも含めて)一見さん風な人たちが多い気がした。

それはさておき、茜色のモケット張りのチェアー、アンバーガラスのシェードランプ、エジプトモチーフの銅の飾り物など、これぞ昭和の喫茶店!といったディティールが満載。”ばえる” 撮影場所には事欠かない。

店内のほの暗さもまた良い。

この日は連れがいたけれど、ひとりの時こそ文庫本を一冊持って、コーヒー片手にこの雰囲気を堪能したい。

ウィンナーコーヒーとココアフロートの甘い誘惑。

メニューを一通りみて、直感的にウィンナーコーヒーとココアフロートをオーダー。なんとなく、純喫茶はクリーム系がイケてる気がするから。

それにプラスして、売り切れたケーキーの代わりにタマゴサンドも追加した。

大森のレトロな喫茶店「珈琲亭ルアン」のウィンナーコーヒー

運ばれて来たウィンナーコーヒーの器は、昭和の誉高い金のラスターカップ。実家のカップボードを漁れば今でも出てきそう。

大森のレトロな喫茶店「珈琲亭ルアン」のバラモチーフのスプーン

シュガーポットのスプーンはバラモチーフですのよ。昭和のスプーンって、持ち手に意匠を凝らしたものが多かったなー。

大森のレトロな喫茶店「珈琲亭ルアン」のココアフロート

生クリームとバニラアイスの溶け具合がたまらない。昭和の喫茶店はやっぱりフロートだね。

大森のレトロな喫茶店「珈琲亭ルアン」のタマゴサンド

「ルアン」のタマゴサンドには焼いたオムレツが挟まれていた。割とあっさり目の味付けなので、物足りない方は塩を振りましょう。

純喫茶で古き良き昭和の空気を追体験

ウィンナーコーヒーもフロートも、昔はオシャレなメニューの最先端だったのだろう。今ほど娯楽も少なかった昭和の時代、この空間が当時の人々にとってどんなにワクワクする場所だったか?

一周巡って、「ルアン」のような昭和の面影を残した喫茶店が再び脚光を浴びている。昭和がまた一段と遠くなって、エンターテインメント化していることの現れなのかもしれないと思うと少し寂しい気もするが。

すでにこの日も2階席は若いカップルや女の子グループでいっぱいだった。

ちょっと裏ぶれたくらいの喫茶店が “昭和感” が感じられて好きだが、そういう店は今の東京ではひっそりとなくなってしまう運命にある。だからこそ、街で出会った “昭和な喫茶店” との一期一会を大切にしたい。

食後にレトロかわいいマンションで目の保養

「ルアン」で視覚と味覚の両方から昭和レトロの美学を感じた後は、これまたレトロかわいい昭和のマンションを拝んで、大森レトロ探訪のシメとする。

セブンスターマンション第5大森の外観

JR大森駅東口からそう離れていない場所に位置する、築40年以上のマンション。東口から北上していくと、ビルとビルの合間から、それらしき建物がひょいっと顔をのぞかせている。

給水塔?の屋根部分が星型に切り抜かれているキュートなマンション。屋根のくすんだ水色と白の外壁の取り合わせもかわいらしい。

セブンスターマンション第5大森の外観

正面から見るととっても凛々しいお顔立ち。だってスターですもの。

“スター” と名のつく大森のレトロマンション

夫の職場に通える東京のマンションで検索していた時に、たまたま見つけたこちらのマンション。

星型の屋根と外壁の色使い、窓枠の飛び出た感じがかわいらしくていいなーと建物情報を見たら、竣工年月が自分の生まれ年!

しかも施工業者は当時東京にオフィスのあった同郷の有名な会社だった(会社はすでに倒産)。

そう知ると、このマンションとの距離がグッと近くなった気がした。しばらく家は買う予定がないけれど、古いマンションのリノベーションもいいかもしれないと思ったり。

まあ、大森駅の周辺って、あんまり家族で住むイメージは湧かない場所なので、実際に住むことはないだろうけれど。

飲み屋も飲食店もカフェもあって、歴史も垣間感じることのできる大森。男性のひとり暮らしだったら住んでみたかったかも?

神田明神の「乙コーヒー」の絶品チーズケーキ

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2019年4月16日