長い夏の終わり、六本木ヒルズの巨大スクリーンに、川谷絵音の紡ぐ美しい歌詞が舞った。
9月最終週の日曜日、六本木ヒルズでJ-WAVEと筑波大学共催の「INNOVATION WORLD FESTA 2019(通称:イノフェス )」に参加。お目当てはもちろん、indigo la End(インディゴ ラ エンド)のライブだ。
ステージ前列はほぼAKBのファンというアウェイ状態……どうなるindigo?

この日のライブはチケット以外に当日並んでもらう整理券が必要で、indigo la EndとIA(バーチャルアーティスト)、AKBのファンの人たちがその列にごちゃ混ぜに並んでいた。最初に長蛇の列を見たとき、「indigo、すごい人気だなぁ」と思ったのだが、実はそのほとんどがAKBのファンの “お兄さんたち” だったっていう(笑)
案の定、ステージの前方はトリのAKB目当ての男性でいっぱい。indigoファンにとっては完全アウェイ状態だ。
『これは絵音さま、やりにくそう……』
やきもきしながらステージを見守っていると、程なくメンバーが現れて「心雨」の演奏が始まった。
イノフェスの絵音さまの衣装はkappaとCHRISTIAN DADAのコラボシャツ?
この日の絵音さまはパツ金&メガネに、Kappaのマークがスリーブにあしらわれたシャツをお召し。
どうでもいいけどKappaって、自分の小学生時代、学校の先生が制服がわりに着てたジャージのイメージ強いな(笑)……あれから2周くらい回って、いつの間にかおシャンティなブランドに??
「花傘」で魅せた甘やかな転調に鬼リピの予感しかない
セトリも「小粋なバイバイ」「結び様」、「夏夜のマジック」は多分やるだろうなぁと思ってたけど、10月発売のアルバム「濡れゆく私小説」からほかに2曲も披露してくれて感無量。
「花傘」のサビ前からの転調は “川谷絵音、ここに極まれり” って感じで、それまでの切ないトーンから、サビに変わった途端の甘やかなハイトーンボイスと予想の斜め上をいくメロディ!
歌詞ももちろん、単純なラブストリーであるはずもなく。このねじれが、絵音さまらしくて好き。
はぁ〜、これ絶っ対好きなヤツ〜。CD届いたら迷いなく鬼リピ確定!
ニューアルバム、タワレコで予約したんだけど、その予約特典が「花傘」と「心の実」の直筆(プリント)歌詞入りノートで。
事前予約、タワレコにしてよかった。
ライブ初披露、「通り恋」の切なさと激しさが画面上で文字になりたゆたう
「花傘」の余韻に浸る間も無く、ライブでは初披露という「通り恋」へ。
微笑ましさがいつの間にか切なさと入れ替わり、激情と行ったり来たりする「通り恋」の世界。
サウンドと歌にばかり注目してしまいがちだけど、川谷絵音は稀代の作詞家でもある。
男女の心の内を、微細な棘をいくつも潜ませて、美しい言葉で歌詞に紡ぎ直し、目の前にさらりと広げて見せてくれるのだ。
この日は絵音氏の書く詞が、Lyric Speakerによって長い眠りから空に解き放たれたかのようだった。
ステージ上で嬉々として舞い踊る歌詞とともに、しばしIndigoの世界に浸る贅沢を享受した。
関連リンク:indigo la Endの「通り恋」と「愛の逆流」は別々の女性に宛てた歌?その意味に涙
その後はテレビドラマのエンディング曲にもなった「結び様」から安定の「忘れて花束」、「Play Back End Roll」と新旧織り交ぜた曲が続く。
そして、晩夏のフェスのオーラスはやっぱりこの曲、「夏夜のマジック」。いつの間にか陽も落ちて、晩夏の終わりを飾るのにふさわしいラストに。
心地よいサウンドと絵音氏のダンスに夢見心地のまま、indigo la Endのパートは終了した。
アウェイ状態の観客の中で、ライブが始まる前は『どうなるんだろう?』とやや不安だったが、Lyric Speakerによって歌詞が “可視化” されることで、indigo la Endの世界観に没入できる稀有な時間となった。
室内で楽しむ Lyric Speaker Canvas はインテリアになじむオシャレさがウリ
この日オーディエンスが目撃したステージに歌詞が舞うシステムは、COTODAMA社の開発したLyric Speakerによるもの。
Lyric Speaker CANVASはこのシステムを室内でも楽しめるよう開発された、インテリア志向の超薄型スピーカーである。
MCで絵音さまが、
「Lyric Speakerとコラボしたんですけど、これ17万ぐらいするんですよ。」
会場「えーっ」「たかーい」
絵音さま「17万だったら、俺いいかなと思ったんだけど」
「金持ちが買うんですかね、……こんなこと言っていいのかオレ、大丈夫?」(←確実に大丈夫じゃないww)
と、いかにも炎上芸人絵音さまらしいコメントでAKBファンからもきっちり笑いを取る。
散々言ってからちゃんと反省するところが素敵ですね。
さて、このLyric Speaker、部屋のオープンシェルフなんかにさりげなく置いて、告白がわりの歌詞をさらっと流すとか、 “ここは決めたい!” というシチュエーションの小道具としても使えるかと。
何より休日に部屋で過ごす時間の質が変わりそう。”金持ち”の方はぜひ(笑)!