“令和の(最初のw)ビッグカップル”、山ちゃんと蒼井優ちゃんの結婚が世間を賑わせて久しい。
だが、結婚の第一報よりも、ふたりの新居が “築50年・家賃50万のヴィンテージマンション” というニュースの方が、自分的には驚きの出来事だった。
築50年のマンションが家賃50万円という不思議
年収1億円とも囁かれる売れっ子芸人の山ちゃんと、人気女優の蒼井優ちゃんが住む家である。
“家賃50万円” は、芸能人カップルの住居費としてはかなり堅実な金額ではないだろうか。
もちろん、”堅実な金額” と言っても、一般の人が月に50万の家賃が払えるかといえば、それはかなりのレアケースだ。
しかもそれだけの金額を出して、わざわざ築50年のマンションを借りるという行為にも、『どうして?』と思う人は多いに違いない。
2019年の時点で築50年ならば、建物自体は1969年の竣工。
新築信奉の根強い日本にあって、築50年のヴィンテージマンションに住むという行為は、いまだ “尖った” 選択肢である。
自分は古い建物のディティールが好きなので、ヴィンテージマンションに対する理解はある方だと思う。
そうはいっても、実家の土地がただ同然の地方出身者にとっては、『築50年のマンションに家賃50万を払う』という感覚はいまだに慣れるものではない。
山ちゃんと優ちゃんはもとより、家賃を50万円も払える財力のある人たちが、 “あえて” ヴィンテージマンションを住まいに選ぶ理由。
そこにはどんな意図が隠されているのだろうか?
それでも都心のヴィンテージマンションに住まうメリット
一般的に言われるヴィンテージマンションのメリットには以下のようなものがある。
立地が選べる(立地条件がよい)
都心になればなるほど、マンションを新しく建てられるようなまとまった土地が出てこない。
そこに住みたい人が大勢いるにもかかわらず、上物(マンション)の絶対数が少ないのだ。
つまり、東京で住むアドレスにこだわれば、住まいは自ずと中古マンションという選択肢になる。
そのような場所で新築や築浅に絞って物件を探すと、そもそもの頭数がないことに加え、新築プレミアムが上乗せされた賃料を支払うことになる。
「古いマンションが生理的にダメ」な人には難しいかもしれないが、築年数を妥協することで、住まいの選択肢の幅が格段に広がるのだ。
マンションの住人に落ち着いた層の人が多い
都心のヴィンテージマンションの場合、売買にしても賃貸にしてもかなり高額となるため、そこに住む人たちの属性も高い傾向にある。
また、もとより便利な場所にあることで、竣工当時から変わらずお住いの方も多いはずだ。郊外の新築マンションのように、若いファミリー世代が中心といった年齢層の偏りは少ない。
山ちゃんと優ちゃんのような芸能人カップルにとっては、プライベートをあれこれ詮索される心配のない環境は何より大切なもの。
ヴィンテージマンションを新居に据えたのも、プライバシーを確保できる環境と睨んでの選択と思われる。
マンションの管理状態の見極めが容易
賃貸ではさほど重要視されていないかもしれないが、集合住宅であるマンションでは、管理良好なマンションを見極めることが大切だ。
どんなに古くても管理がしっかりしている建物は、共用部の清掃が行き届いてゴミ置場もきれい。植栽のメンテナンスも適宜行われていることが多い。
建物の新しさに紛れ、管理の良し悪しの見分けが困難な新築・築浅マンション。かたや、経た年月の管理状況が現在の建物の姿となって浮き彫りになるのがヴィンテージマンションの特徴だ。
古い建物ならではの建築のディティールが素敵
そして個人的に「ヴィンテージマンションに住むメリット」を考えたとき、『今では再現が難しい、心踊る建築に暮らすこと』を、その最たる理由として挙げておきたい。
飴色の釉薬がかかった渋い色合いのタイルや、ラピスラズリみたいな深い青のタイルがあしらわれた外壁。
優美なアーチを描くピロティー、
マンションの銘板の昭和レトロなタイポグラフィー、
赤いゼラニウムがよく似合う、アイアン風のレトロかわいい手すりなど……。
今よりもずっと時の流れがゆるやかな時代の、設計者の遊び心がディティールに滲むヴィンテージマンションたち。
往時のマンションから醸し出される “色気” を、昨今の建築物に感じることはない。
山ちゃんと蒼井優ちゃんの夫婦の場合、住まい選びの主導権はヴィンテージマンション好きの優ちゃんが握っていたようだ。
想像力が掻き立てられる空間を日常の舞台に選ぶことは、表現の世界に生きる女優さんらしい選択と言える。
都心でリノベーションOKな分譲賃貸マンションってどこで借りられるの?
ちなみに、件の週刊誌では、おふたりの共通の趣味であるアイドルや宝塚のDVD観賞に「シアタールーム」を作る準備をしているという記述があった。
賃貸で「リノベOK」な物件を探すのはハードルが高そうだが、下記の不動産サイトには賃貸だけど改装もOKという物件ばかりが紹介されている。
あの「ヴィラ・ヴィアンカ」も!改装可能な賃貸マンションは意外とある
こちらのサイトをちょっと見ただけでも、
ヴィンテージ建築マニアの間では有名な、雁行バリバリの「ヴィラ・ヴィアンカ」や、表参道徒歩2分に建つ “シャトーシリーズ” のマンションのメゾネットなど、60年代のクールなマンションがいくつか紹介されていた。
青山の “シャトーシリーズ” のマンションは60平米で賃料43万円と、「築50年で家賃50万円」のヴィンテージマンションのスペックを想像する上で参考になるかと思う。
上記のサイト以外にも、改築OKかは物件によるが、ヴィンテージマンションありきで立地も重要という向きには、TOKYO VINTAGE MANSIONという老舗サイトがおすすめ。
ヴィンテージマンション愛好者垂涎の “ホーマットシリーズ” など、検索用にマンション名のボタンが並び、そこからさらに希望のアドレスで物件を絞り込むことが可能。
完全に目の保養&暇つぶしにしかなり得ない賃料だったりするが(笑)、60年代〜70年代のマンションが好きな方には夢のようなサイトだ。
住まいの好みは十人十色。ヴィンテージマンションに住むという選択肢は今後広がりそう
東京23区には築50年に迫るヴィンテージマンションが数多く残されている。
『値ごろ感のあるヴィンテージ物件をリノベして住みたい』けれど、『いきなり購入するのは不安』という人は、検討しているマンションに賃貸物件の募集がないか確認してみるといいだろう。
ただ “古い” からといって、住まいの選択肢から外すのはもったいないことだ。
それにしても、結婚相手に選んだ山ちゃん然り(笑)、住まいに選んだヴィンテージマンション然り。
世間一般の常識にとらわれず、物事の本質や価値を見抜いて幸せをつかむ蒼井優ちゃんの審美眼には畏れ入るばかりである。
関連リンク:レトロな段々マンションに恋して