アウトドア感溢れる洗面所は必見!? 広く見せるテクが満載の建築家の自邸

35平米のアウトドア感溢れるリノベアパート 小さな家

狭い部屋のデザインには、「何が自分にとって一番大事なのか」「自分のライフスタイルを知らなければならない」という、建築家のJack Chen氏。面積の制限の中で枝葉末節を除いていくと、最後に大切なものだけが残る。その印象的な例が、今回ご紹介する建築家のリノベアパートだ。

建築家自らデザインして住む35平米のリノベーションアパート

メルボルン在住の建築家、Jack Chen氏のご自宅は、70年代に建てられた古アパートの一室。

35平米という限られた空間に、居心地よく過ごすための仕掛けがいくつも施されている。

窓周りの収納が居心地のよさを生むリビング

部屋に入って最初に目につくのは、白い壁面に大きく切り取られた窓と、その周囲をぐるりと取り囲む鏡貼りの壁面収納。

窓下に設けた本棚の上にはマットレスを敷いて、読書や物書きができるスペースに。

窓の周囲を本棚で囲み、その中央にくつろぎのスペースを設けたヌックを何度か見かけたことあるが、こちらはその一種と言えよう。

 

男性のひとり暮らしで35m2もあれば、日本の基準だと『そんなに狭くなくない?』と思われる方も多いはず。

床面積で言えば、確かにそうかもしれない。

だが、『広すぎるんじゃない?』とまでに観る者を勘違いさせてしまうなら、そこには広く見える十分な理由が存在するということだ。

狭い部屋を広く見せるテクニック

壁面に鏡を貼る

mirror

壁面収納を一部鏡貼りにすることで、室内を広く感じさるテクニックもそのひとつ。

よく見ると、幅木部分にも鏡が貼られていることに驚く。鏡に床面を映すことで、床があたかもその奥まで続いているかのような錯覚を覚える。

また、壁の中央に配置された横長の窓には、視線を外に向けさせる効果がある。これにより内と外との境界が曖昧になって、実際の奥行きよりも空間が広く感じられるのだ。

30㎡の小さな平屋が身軽な暮らしに理想の間取りだった

30㎡の小さな平屋が身軽な暮らしに理想の間取り

2019年6月13日

家具は折りたたみ式。使わないときは壁面に収納

折りたたみ家具のイメージ

どんなに軽いものを選んだところで、狭い部屋では邪魔になるばかりの家具。

その処方箋としてChen氏が選んだのは、フラットにしまっておける折りたたみ式。

寝室とリビングの間仕切り壁にデスクを、キッチンとリビングを隔てる可動式の間仕切り壁にダイニングテーブルを格納する職人芸にため息!

 

よく考えてみれば、テーブルや椅子といった家具は、常時使われる性質のものではない。だから必要なときだけ組み立てて、それ以外は畳んでしまっておくのは理にかなっている。

「何が自分にとって一番大事なのか」を突き詰めていくと、一見常識に思えることも、実はそんなに必要ではなかった、ということが往往にしてある。

狭い家や小さな家では “制限する” ことや “諦める” ことは日常茶飯事。空間をスリムダウンすることで、結果として無駄なモノやコトから解放されるのだと妙に感心してしまった。

ダイニングテーブルがわりのアトリエテーブル

ダイニングテーブルをやめてちゃぶ台にも挫折。食卓に選んだのは元・学習机

2019年7月22日

傘立ては靴用の棚板をくり抜いて一台二役

個人的に技あり!と唸った工夫が玄関の傘立て。靴をしまう棚板を丸くくり抜き、傘立てとしたアイディアがミニマムで秀逸。

ガラスを間仕切り壁として使用

半透明な洗面所の壁

一方、この家の仕掛けで驚愕したのは、サニタリーとキッチンを隔てるガラスの壁。

 

なんとこちら、『キッチンからトイレが丸見え……』

いくら光を通す目的でもコレは……とドン引きしていたら、家の主がおもむろにリモコンをピッ。

 

〜なんということでしょう〜♪

 

それまでサニタリーの光をキッチンに届けていた透明なガラスの壁が、あっという間に曇りガラスに変身! プライバシー用フィルムとの合わせ技で、もはやシャワーカーテンの存在意義なし(笑)

生活感が出やすいキッチンこそアートのように美しくミニマルに

黒のキッチン

この家は限られた空間を広く見せ、かつ広く使うテクニックの宝庫だが、シンプル・シックなキッチンも一見の価値がある。

石材(花崗岩?)のような黒のバックパネルは、それ自体がまるで一枚のアートのよう。

無造作に掛けられたキッチンツールも簡素な美しさが光る。バックパネルに溶け込むように、水栓のカラーリングも黒を選ぶ念の入れよう!

光が直接目に入らない照明の工夫をみても、ここはキッチンというより、むしろChen氏の “ギャラリー” と呼ぶべきものだろう。

 

黒は油はねが目立つ色だが、これほど美しくミニマルなキッチンならば、毎日喜んで手入れしようというもの。

掃除嫌いこそ、生活感溢れる場所にはあえて上質なものを取り入れてみるといいかもしれない。

グリーンを身近に感じる暮らし

アウトドア感覚で過ごせる35平米のアパート

冒頭で、小さな家では「何が自分にとって一番大事なのか」を考える必要があると言った。

Chen氏にとってそれが何に当たるのか、動画の中では明確には語られていない。

ただ、ひとつ挙げるとすれば、バルコニーやテラスなどの屋外空間を持たない家に、 “アウトドアな感覚” を取り入れていることだろうか?

 

キッチンに光を通す仕掛け、室内を彩る観葉植物、小鳥のワイヤーアートにシャワールームのティンバータイル。

極め付けは、サニタリーの壁に貼られたモリモリの苔のプリザード。

その一つひとつに、住人の自然に対する思慕が感じられる。

 

壁にかけられたアイコニックなロードバイクも、自然に身を浸すための装置に思えてならない。