ある日ふと、20代・30代ではキラキラと見えていた “モノ” が、いつの間にかその色彩をすっかり失ってしまったことに気付いて茫然となる、そのターニングポイントが40代かと思う。モノを買うために、これまでたくさんの貴重な “時間” を費やしてきたというのに。
高価なものほど、いらなくなったときの後悔は大きい
人生で一番高い買い物だったのに、持ち家をたった7年で手放してしまった。
そのときは “さみしい” 気持ちもあったし、人並みに色々なことを思い出しては涙もでたけれど、正直 “清々しい” 気持ちでいっぱいだった。
それまでは、常に家に縛り付けられているような感覚があったからかもしれない。
10年でローンを返してしまおうと、一生懸命貯金して、その残高がどんどん減っていくのを見ても、喜ぶどころか、何だかむなしかったあの頃。
『無事にローンを払い終わって、子どもたちにもそれなりの教育を受けさせたら……後は何を支えに生きていくんだっけ?』
家も、車も、高い家具も……本当に必要なものは別の場所にあった

結婚したら、家を買う。
それがごく当たり前のことだと思っていた。
『乗り心地のいい車が欲しいね、家に合う家具も買わなくちゃ……。』
最初はそれも楽しかった。節約して、ローンを返して、貯金して。
年に2回のボーナスを心待ちに、たくさんのモノを手に入れて、たくさん捨ててきた。
でも、遠い先の未来に希望しかない、若くて何でもキラキラしていたあの頃の、宝物のような時間はあっという間に過ぎてしまった。
『 “欲しいものが買えないこと” は不幸なこと』
その価値観によって、人生の貴重な時間を労働に過剰に費やし、モノに縛られて不幸になっていたのは、他でもない自分たちだった。
人生の終着点が見えてくる40代。モノより見えないコトに投資して豊かに生きる
家を売ってからというもの、お金の使い道はそれまでとは大きく変わった。
“今” しかない家族の時間を大切に、記憶に残るような場所へと旅立ったり、

ベトナムのダナン。ゴーギャンの絵の中にいるような気分に

プラハのオールドタウンブリッジタワーからの眺め。宗教画のような光景
魂が震えるような体験をしたいから、大好きなアーティストのライブやイベントにはできる限り足を運び、

indigo la End 初の野音でのライブ “abuku” 2019.6.30 日比谷野外音楽堂
モノを贈り合うのではなく、美味しいものを一緒に食べる時間を大切にするようになった。

横浜 星のなる木にて まとめて3人分のバースデーケーキ
手にしたときの喜びが最大値で、時間が経てば経つほど価値を失ってしまう “モノ”。
これまでの人生でため込んできた、そんなモノたちとはそろそろ縁を切り、
誰にも奪われない、心の奥でいつまでも光を放ち続ける “思い出” や “体験” をこれからも重ねていきたい。
気づくと手段と目的が入れ替ってしまいそうになる毎日に、自分への自戒を込めて。